やる気のない酒屋
私の家の近所には、やる気のない酒屋がある。
どのくらいやる気がないかと言うと、まず看板が無い。
かろうじて「酒」と書いてある看板があるので、酒屋なのは分かる。
そして、営業時間。
平日は開いてないのだ。
土日しか開いてない。
しかも、午後から。
そして、店内。
結構広い店内なのに、ものすごい量のガラクタが置いてある。
まぁ、店主にしてみればガラクタではないかもしれない。
そのせいで、広い店内はカニ歩きでしか歩けない。
その日、めざすワインはボルドーの赤。
どこにあるのかサッパリ分からない。
遠くに、フランス国旗のイラストと共に「フランスワインフェア」と書かれた紙が見えた。
「よし、あそこを目指そう」
ヨイショ、ヨイショとカニ歩きで辿り着く。
えーっと・・・ボルドーは・・・。
「ブルゴーニュ・・・、これもブルゴーニュ・・・、ブルゴーニュ・・・、ブルゴ・・・・」
私の困惑した雰囲気を察知したのか、店主が話しかけてきた。
「何かお探しですか?」
「あの・・・ボルドーを・・・」
「あー、ボルドーですかー・・・、ボルドーは、えーっと、これと、これだけですね」
2種類かいっ!!!!!(心の声)
「あの、これ全部ブルゴーニュですか?」
「ええ。私がブルゴーニュ好きなもんで・・・・(テヘッ)」
テヘッじゃねーよ。
店主の好みだけの品揃え・・・。
気を取り直して。
「えっと・・・、メルロー100%のはありますか?」
「品種で来ますか!品種でくるとは・・・、なかなか・・・」
店主はごそごそと探し始めた。
「あっ!入ってきたばかりのボルドーがありますよ!・・・でも・・これメルロー80%ですね・・」
「あ。もうそれで良いです。それください。」
我ながらいい加減な買い方である。
店内には、元ノラ猫だったという猫がワインの木箱の中でスヤスヤ眠っている。
木箱の中には毛布が敷いてあって暖かそう。
古いガラクタに囲まれた店内。
ちょっと変わった店主。
「来週、メルロー100%のワインが入荷しますので、電話番号を教えてください。連絡します。」
とりあえず、電話番号を教えて、カニ歩きで店外に出た。
相変わらず、変わった店だなぁ・・・。
感慨にふけりつつ家に戻った。
それが先週。
そして今週。
土曜日、メルロー100%が入ったというので買いに行った。
4200円のワインを2980円で良いと言う。
いやいやいや・・・そんなに安くせんでも・・・。
「ワインはどんなグラスで飲まれてますか?」と聞かれた。
「コップです」
「え?コップ?どんなコップですか?」
「普通のコップです」
「ワインはグラスでも味が変わりますので、やはり大き目のものが・・・」
店主、ゴソゴソゴソ。
あっちをゴソゴソ、こっちをゴソゴソ。
「あっれー?おかしいなー?この前のワイン会で使って・・・えっと、この辺に確か・・・」
さらにゴソゴソゴソ。
「あ。あったー」
ワイングラスを差し出された。
「これ、差し上げます」
「いやいやいや、そのような訳には・・・お金払いますから」
押し問答が続いたが、店主はお金はいらない、の一点張り。
有難く頂戴した。しかも2つ。
そして、ワイングラスでワインを飲んだ。
うん。コップでもいいよ、私は。
ちょっと渋いけど美味しかった。
そして、電話が鳴った。
「ワインどうでしたー?私も飲んで見たんですけどね、輸送でだいぶ揺れていたようで、澱が沈んでなかったですね。申し訳ないです。1か月くらい置くと沈むのですけどね」
アンタも飲んだんかいっっっ!
まぁ、美味しかったので、今日も買いに行った。
それが、今日。日曜日。
シャッターが閉まっていた。
日曜日も閉めるんかいっっっ!!!
どんだけ・・・。
でも、こういう店、好きだ。
かなり好き。
どのくらいやる気がないかと言うと、まず看板が無い。
かろうじて「酒」と書いてある看板があるので、酒屋なのは分かる。
そして、営業時間。
平日は開いてないのだ。
土日しか開いてない。
しかも、午後から。
そして、店内。
結構広い店内なのに、ものすごい量のガラクタが置いてある。
まぁ、店主にしてみればガラクタではないかもしれない。
そのせいで、広い店内はカニ歩きでしか歩けない。
その日、めざすワインはボルドーの赤。
どこにあるのかサッパリ分からない。
遠くに、フランス国旗のイラストと共に「フランスワインフェア」と書かれた紙が見えた。
「よし、あそこを目指そう」
ヨイショ、ヨイショとカニ歩きで辿り着く。
えーっと・・・ボルドーは・・・。
「ブルゴーニュ・・・、これもブルゴーニュ・・・、ブルゴーニュ・・・、ブルゴ・・・・」
私の困惑した雰囲気を察知したのか、店主が話しかけてきた。
「何かお探しですか?」
「あの・・・ボルドーを・・・」
「あー、ボルドーですかー・・・、ボルドーは、えーっと、これと、これだけですね」
2種類かいっ!!!!!(心の声)
「あの、これ全部ブルゴーニュですか?」
「ええ。私がブルゴーニュ好きなもんで・・・・(テヘッ)」
テヘッじゃねーよ。
店主の好みだけの品揃え・・・。
気を取り直して。
「えっと・・・、メルロー100%のはありますか?」
「品種で来ますか!品種でくるとは・・・、なかなか・・・」
店主はごそごそと探し始めた。
「あっ!入ってきたばかりのボルドーがありますよ!・・・でも・・これメルロー80%ですね・・」
「あ。もうそれで良いです。それください。」
我ながらいい加減な買い方である。
店内には、元ノラ猫だったという猫がワインの木箱の中でスヤスヤ眠っている。
木箱の中には毛布が敷いてあって暖かそう。
古いガラクタに囲まれた店内。
ちょっと変わった店主。
「来週、メルロー100%のワインが入荷しますので、電話番号を教えてください。連絡します。」
とりあえず、電話番号を教えて、カニ歩きで店外に出た。
相変わらず、変わった店だなぁ・・・。
感慨にふけりつつ家に戻った。
それが先週。
そして今週。
土曜日、メルロー100%が入ったというので買いに行った。
4200円のワインを2980円で良いと言う。
いやいやいや・・・そんなに安くせんでも・・・。
「ワインはどんなグラスで飲まれてますか?」と聞かれた。
「コップです」
「え?コップ?どんなコップですか?」
「普通のコップです」
「ワインはグラスでも味が変わりますので、やはり大き目のものが・・・」
店主、ゴソゴソゴソ。
あっちをゴソゴソ、こっちをゴソゴソ。
「あっれー?おかしいなー?この前のワイン会で使って・・・えっと、この辺に確か・・・」
さらにゴソゴソゴソ。
「あ。あったー」
ワイングラスを差し出された。
「これ、差し上げます」
「いやいやいや、そのような訳には・・・お金払いますから」
押し問答が続いたが、店主はお金はいらない、の一点張り。
有難く頂戴した。しかも2つ。
そして、ワイングラスでワインを飲んだ。
うん。コップでもいいよ、私は。
ちょっと渋いけど美味しかった。
そして、電話が鳴った。
「ワインどうでしたー?私も飲んで見たんですけどね、輸送でだいぶ揺れていたようで、澱が沈んでなかったですね。申し訳ないです。1か月くらい置くと沈むのですけどね」
アンタも飲んだんかいっっっ!
まぁ、美味しかったので、今日も買いに行った。
それが、今日。日曜日。
シャッターが閉まっていた。
日曜日も閉めるんかいっっっ!!!
どんだけ・・・。
でも、こういう店、好きだ。
かなり好き。
2012-02-05 21:05
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コメント(5)
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店主のゆらさ加減、好きだなぁ~。。。
ウンチク少なめで適当さ加減も^^
by 木鶏 (2012-02-06 10:02)
いやぁ、、道楽ものめっ、、
て感じですよね。
スキな物をスキな人に売るから、
責任をちゃんと果たしたい、、
だから飲むっ。
グラスさえあげちゃう。。
えーーー、やっぱ商売じゃないでしょうねぇw
でも、スキな物をスキな人と共有したいから商売する。
そういうのって、大事なのに忘れてきちゃった感じがありますね、
この国の皆さんは、、
思いだしてきました、純粋って何、ってw
by アキオ (2012-02-08 00:19)
>木鶏さんへ
すごーく変なお店なんですよ。
それでやっていけるの?って思うし。
噂では平日はアルバイトをしてるらしいです(笑)
訳が分かりません。
>アキオさんへ
道楽ですよ、ほんと。
元ノラ猫もいい味出してました(笑)
時間の流れが違う気がします。
外国製のふるーーーいストーブとかミシンとか、ガラクタが沢山あるんです。
もう何がなんだか。
でもね、ほんと、「幸せ」って何?って思います。
実は、もっとゆっくり時間は流れているのかもしれないです。
考えさせられますね。
by parana (2012-02-08 21:07)
小売業って商品愛せなくても売る事は出来るけど、
愛せる商品を売る方が本人も商品も幸せですよね。
まさにそんな酒屋さんな感じがします。
最近って安売りスーパーみたいな酒屋さんが多いから、
こうやって問答しながら買えるお店、貴重だなぁ・・・
by Akisan (2012-02-08 21:27)
>Akisanさんへ
店主さんね、実は元セブンイレブンのオーナーさんだったんですよ。
まさに、商品を愛してる場合ではない世界ですよね。
24時間、365日だもん。
きっと、疲れ果てちゃったんだろうなぁ。
体も、心も。
何のために生きるのか、って大事な問いですよね。
by parana (2012-02-09 20:55)