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情報と芸術

抽象画という芸術がある。

何を描いているのか分からない絵のことである。

小さい頃は、その価値がさっぱり分からなかった。

子供の落書きにしか見えないわけで。

しかし、ある一時期、ある一定時間抽象画が目の前にあった。

ぼーっとした頭でその絵をみると、ある日は炎に見え、ある日は踊る人達に見えた。

そして、ずーっとみていて、一つのことに気付いた。

「あぁ、飽きないんだ」

抽象画は、ぼーっと見てても、飽きない。

で、脳の中では、炎に見えたり、人間に見えたり、樹木に見えたり、するわけで。

何が描いているかはっきり分かる絵は、「それ」だけなので、初めは感動するけど、飽きる。

そのことに気付いたとき、面白い!と思った。

なんなのこれ?っていう方が飽きないのだ。

脳が。

抽象画を思いついた人はエライなぁ。

さぞかし勇気が必要だったことだろう。

上手い、っていうことから離れているから。

なにこれ?っていう非難も轟轟だったことだろう。


老子も抽象画に似ているなぁ、と思う。

さっぱり分からないから。

でも、何かが書いているわけで。

解釈本も沢山出ている。

で、その解釈に「?」となることも多い。

老子はヒーリングのための本ではない。

生きにくい世の中を、生きやすくするための本ではない。

何も優しいことは書いていない。

天地仁なし、万物をもって芻狗(すうく)となす。

天地に慈しみの心なんてない、万物がどうでもいい存在です。

これです。

このピシャリと頬を打つような感覚が老子にはある。

どちらかというと厳しい本です。

疲れた心を癒す本ではないです。

と、言っておきながら、

これも解釈です。

抽象画ですからね、どんな風にも読めるんです。

人は求めたいものを対象に映す生き物です。

鏡ですね。

だから、ヒーリングだと思えばそれもまた良しなのです。

これが抽象画の良いところ。


何かいいたいのかと言うと、これがアート(芸術)です。

脳をね、ひろーく使うのがアート。

いろんな部分が活性化するのが、アート。


この前、NHKで若者が本を読まないとか特集をしていました。

本て!!

めっちゃざっくりじゃないですか!!

雑だなぁ、NHKは。

あのね、情報とアートは違うんですよ。

欲しい情報をとる行為をインターネットでするか、本でするか、という事をやっておりました。

それは、情報!

みそ、くそ、一緒かい。


明治時代の人の本を読むと、すごく詩の引用が多い。

するすると、詩が引用されている、

呼吸のように詩がでてくるわけで。

日本の歌人、漢詩、西洋の詩、などが、するすると。

詩が日常だったのでしょうね。


結局、快楽なのだと思う。

快楽であるから、手を出す。

苦痛ならば、手は出さない。


情報を欲するのか、アートを欲するのか、その人次第。

脳のどこを使いたいかってことです。


ここで、好きな詩を引用します。


たのしみはまれに魚(うお)煮て児等(こら)皆がうましうましといひて食ふ時


これは猫を飼っている人は好きな詩じゃないかな。

猫缶をあけて、お皿に入れると、とても美味しそうに食べる。

まさに「うましうまし」という感じ。

この歌人はとても貧乏で、たまにしか魚を食べることができなかったんですね。

で、その魚を子供たちが「うましうまし」と。

この瞬間をきりとった詩。

とても素敵。

NHKもね、本を読まなくなった若者とか、ざっくりとまとめるんじゃなくて、もっとこう、丁寧にあつかって欲しいなぁ。

にんとも、かんとも。



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コメント 4

マー

ムフフ・・・
私はココで脳みそフル回転させて頂いてますよ(^^)

詩、
面白いですね。
この面白さがちょっくら分かってきた自分がまた面白いです(笑)

さて、猫缶うましの光景が大好きでしたが、
その主人公、家族の頭目が、
「んじゃまぁ、おまいら人間の前に先に見てくるわ」ってな感じで、
逝ってしまいました。

家族三人、コタツの中をまさぐり、互いの手足が当たる日はまだまだ続きそうです。
by マー (2014-12-15 23:39) 

アキオ

抽象画って、やっぱり才能が飛び抜けてないと書けないと、、
いや、心がクリアであればかけるのかも。

ほら、頭の中の、わかってるんだけどもやもやっとした物とか、
心の中の、しゅるしゅる、ずるずる、ずきずき、する物とか、
それを書き表せちゃうって、、なんかすごい。

と、思うまで、よくわからなかった価値w

でも、やっぱり、よーわからんと言う物はある訳で、
それはそれでいいのよね、と思う昨今。
by アキオ (2014-12-30 01:15) 

parana

>マーさんへ

ついに、逝ってしまいましたか、、、。
涙が出ます。
いつかはくる日ですけどね、分かっていてもね、、、。
ほんと、切ない。
コタツの中がさみしいですねぇ。
「お着替えをして会いに来る」という表現が大好きです。
きっと、今、着替えをしていますよ。
今度は、茶トラかな?三毛かな?白黒かな?
きっと、また、会える。
出会いはいつも必然。

by parana (2014-12-30 19:09) 

parana

>アキオさんへ

よーわからんものの方が、脳は喜ぶのかも。
写真のような絵は、最初「すごい!」と思っても、すぐに飽きちゃう。

よく行くお店のBGMがずっと同じ曲なんですよ。
もうね、これが苦痛になっちゃって。
脳が拒否するんですよ。
「また同じ曲やん・・・」って。

私の脳は変化を好む。

by parana (2014-12-30 19:20) 

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